アプリケーションデータ
バグツアー応募 ビーズ破砕とエタ沈 撹拌とスピンダウンの機能を活用して次の様な用途にお使いいただけます。また、この他にもアイディア次第で様々な用途に応用が可能です。

大腸菌や酵母などのビーズ破砕に

運転音はきわめて静かですが、大腸菌や酵母等のビーズ破砕に使用できます。スピンダウン機能を活用して菌液を濃縮すれば、破砕効率がアップします。
(撹拌機+簡易遠心機としての使用法です) ⇒アプリケーションデータを見る

簡易遠心機としてエタ沈も可能

1300xgの遠心力で、DNAのエタノール沈殿にもご使用いただけます。(※エタ沈の場合は本格的な遠心機よりも処理時間を要する場合があります)
(撹拌機+簡易遠心機としての使用法です)⇒アプリケーションデータを見る

複数マイクロチューブでの反応一斉スタート

複数のマイクロチューブの各々のフタの裏に反応開始試薬を付着させ、バグクラッシャーにセット。 最初にスピンダウンし反応をスタートさせ、その後は撹拌を継続します。
(撹拌機+簡易遠心機としての使用法です)

エマルジョンの調整

水と油などの乳化にご使用いただけます。
(撹拌機としての使用法です)

数分から数時間の撹拌操作

ローターにセットして撹拌するので長時間の撹拌に便利です。
(撹拌機としての使用法です)

培養菌体のスピンダウン

1300xgの遠心力で、培養液の菌体のスピンダウンにご使用いただけます。
(簡易遠心機としての使用法です)

タイテックのバグクラッシャーGM-01を用いた実験結果をまとめたものです。是非ご一読ください。データは今後も随時追加してまいります。

バグクラッシャー GM-01 実験データ01

1.概要
ガラスビーズ破砕によるDNA抽出は染色体のクオリティーが低めで不純物の混入が多めであるが1)、 非常に迅速簡便な抽出法であり、 プラスミドも回収できるため(染色体を重視して抽出するハーホード法はプラスミドが失われる場合がある1)) PCRテンプレート等の使用や前段階の抽出としては十分である。 また、その簡便さから近年では病原体核酸抽出にも利用されている2)。 本法では通常、ボルテックスミキサーを使用するが、装置の撹拌性能によっては途中でガラスビーズが沈殿するため、 場合によって転倒撹拌やタッピングするなどの手間をかけねばならない1)。ビーズ破砕に特化した専用装置もあるが、 酵母等の破砕に用いるにはオーバースペックで高価すぎる感が否めない。 バグクラッシャーGM-01は、手軽にビーズ破砕が行なえるよう考慮した機器である。ただし撹拌方式が従来のボルテックスミキサーとは異なるため、 実際に酵母DNAの抽出を行なった事例をご紹介することとした。

2.使用した試薬など1)
  • 完全培地(YPD、YPDA)
  • 滅菌蒸留水
  • 2.0mlマイクロチューブ
  • 1.5mlマイクロチューブ(ネジ口を推奨)
  • ガラスビーズ
    フジストンNo.06(直径0.35〜0.85mm、富士理化工業)(*)
  • 破砕用バッファー 100mM NaCl
    10mM Tris-HCl(pH8.0)
    1mM EDTA(pH8.0)
    2% TritonX-100
  • PCI溶液
    フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール=25:24:1
  • 99%エタノール
  • 70%エタノール
  • 3M酢酸ナトリウム(pH5.2)
  • TE
    10mM Tris-HCl(pH8.0)
    1mM EDTA(pH8.0)
  • RNase A
    (*)参考にしたプロトコールでは直径0.25〜0.5mmのNo.006を使用するとあったが、
    生産終了とのことで直径が近いNo.06を使用した。

3.手順1)  ※参考プロトコールをもとに、GM-01での扱いを考慮して若干改変している。
    ガラスビーズの分量
    ガラスビーズの分量
  1. YPDAで継代しておいたYeastのシングルコロニーを4mlのYPDで一晩、30℃にて振とう培養した(バイオシェーカーBR-23FPを使用)。
  2. 2mlずつ2mlマイクロチューブ2本に分け、GM-01のスピンダウンモード(最高回転数)で5分間遠心して集菌し、上清を捨てた。
  3. それぞれに4mlの滅菌蒸留水を加えて洗浄し、最高回転数で5分間遠心して集菌、上清を捨てた。
  4. それぞれに0.15mlの破砕用バッファーを加えて懸濁した。
  5. 1.5mlマイクロチューブ(ネジ口を推奨)2本にガラスビーズを取り分けた(分量は写真参照、正確でなくてもよい)
  6. ガラスビーズを入れたチューブに懸濁液をそれぞれ移し、PCI溶液を0.15ml加えた。
  7. GM-01のミキシングモード(最高回転数)で2分30秒間撹拌した。
  8. GM-01のスピンダウンモード(最高回転数)で10分間遠心し、溶液をそれぞれ新しい1.5mlマイクロチューブに移してPCI溶液を0.15ml加えた。
  9. GM-01ミキシングモードのフラッシュボタンを用いて数秒間撹拌した。
  10. GM-01のスピンダウンモード(最高回転数)で15分間遠心し、上清をそれぞれ新しい1.5mlマイクロチューブに移した。
  11. エタノール沈殿後(不純物や大量のRNAにより沈殿が見える)、ぞれぞれ30μlのTEに溶き、RNase処理を行なった。

4.結果と考察
■実験結果
泳動の画像
  1. 分子量マーカー(λ-EcoRI+HindⅢ)
  2. チューブ(1)、RNase未処理
  3. チューブ(1)、RNase処理
  4. チューブ(2)、RNase未処理
  5. チューブ(2)、RNase処理

得られた抽出溶液の1μlをアガロースゲルで泳動した。抽出されたDNAは約20kbpの位置でシャープな単一バンドとして確認できた(実際は20kbp以上の断片の集合と考えられる)。 用いた酵母はプラスミドを持っていないため、これは妥当なバンドパターンである。また、ガラスビーズ破砕法による抽出DNAでしばしば見られるスメアー状のバンド (切断による断片化2))は相対的にほとんど見られなかったため、一定クオリティのDNAが得られたと考えられる。 なお、本実験では破砕時のガラスビーズ沈殿の有無については気にせず、GM-01の撹拌力に任せたまま破砕を行なった。

■破砕効率の考察
ビーズ破砕のグラフ 本実験で用いたプロトコールでは培養液を濃縮しているが、これは破砕効率を高めるために欠かせない操作である。ビーズ破砕による核酸抽出に関しては市販キットもあるが、 中には濃縮しない方法もオプションとして記載しているものもある。ただ、濃縮しないと破砕効率が下がり、収量の関係で電気泳動ではDNAを確認できないこともあるため、 やはり濃縮は必要と言える。 参考までに、ジルコニアビーズ(ガラスよりも比重が大きいため破砕力が強い)採用の市販キットを用いて破砕したときの効率を示す。

グラフは、破砕バッファーを加えずに破砕処理した培養液をプレーティングしてコロニー数で細胞数を見積もった結果を表す。Aは2ml培養液をGM-01で遠沈して150μlに再懸濁したもの、 Bは培養液をそのまま350μl用いたもの。いずれも市販キットのプロトコールに従った方法。破砕効率は、菌体密度を高くしたほうが良いことが分かった。

【参考文献】
1)バイオ実験イラストレイテッド(秀潤社)
2)藤本秀士、中上佳子、小島夫美子:九州大学医学部保険学科紀要、第3号、33-38、2004
3)バイオマニュアルシリーズ10(羊土社)


バグクラッシャー GM-01 実験データ02

1.概要
実験台の上に必ずあると言っても過言ではない簡易小型遠心機は、遠心力や回転数こそそこそこのカタログスペックが示されているが、実測すると仕様を満たしていないものもある (経年劣化なのか、負荷のためか、あるいはモーター自体のスペックを示している可能性が高い)。 バグクラッシャーGM-01のスピンダウン機能は、1300×g以上の遠心力がマイクロチューブの底にかかるように調整されている。とは言っても本格的な遠心機からすれば力不足ではあるが、 この遠心力でDNAのエタノール沈殿(以下、エタ沈)が可能かどうかを検証したので、ここに紹介する。なお、卓上遠心機の用途として多い培養液の集菌については、 問題なく使用できることをガラスビーズ破砕によるDNA抽出実験(上記・実験データ01)においてすでに示している。

2.使用した試薬など
  • DNAサンプル1:λ-EcoRI+HindⅢ
  • DNAサンプル2:pBR322
  • 1.5mlマイクロチューブ
  • 99%エタノール
  • 70%エタノール
  • 3M酢酸ナトリウム(pH5.2)
  • TE
  • 10mM Tris-HCl(pH8.0)
  • 1mM EDTA(pH8.0)
3.手順
  1. DNAサンプル20μl(約0.05μg/μl)に1/10量の酢酸ナトリウムと2倍量の99%エタノールを加えた。
  2. -20℃に30分ほど置き、GM-01のスピンダウンモード(最高回転数)で15分間遠心した。
  3. 比較として、同様に用意したサンプルを遠心機(15000r/min)で15分間遠心した。
  4. 上清を捨て70%エタノールでリンスし、再び同様に遠心した。
  5. 上清を捨て、マイクロチューブをフタを開けたままキムワイプの上に逆さにしばらく静置し、沈殿を乾燥させた。
  6. 沈殿をもとの量(20μl)のTEに溶きなおし、電気泳動により確認した。
4.結果と考察
■実験結果
泳動の画像
  1. λ-EcoRI+HindⅢ(エタ沈前)
  2. λ-EcoRI+HindⅢ(エタ沈後、GM-01)
  3. λ-EcoRI+HindⅢ(エタ沈後、遠心機)
  4. pBR322(エタ沈前)
  5. pBR322(エタ沈後、GM-01)
  6. pBR322(エタ沈後、遠心機)
  7. ※pBR322は環状のまま泳動した。
いずれも15分遠心(GM-01は1300×g、遠心機は15000r/min)し、エタ沈後に等量に再溶解した。使用した2種のDNAについて、 電気泳動では遠心機と遜色ない結果を確認する事ができた。

■考察
本実験では遠心時間をともに15分としたが、遠心機はマイクロチューブ用のものでも約10000×gの遠心力を持っているので、遠心時間を短くすることは可能であろう。 GM-01はその1/10の遠心力であるため、時間を短くすることは難しいと考えられる。また、本実験で試さなかった低分子・低濃度の核酸についても、エタ沈できるかどうかは定かではない。 しかし卓上汎用機としてミキシング機能を兼ね備えたGM-01は、このようにアイデア次第で様々な実験に応用できる可能性を持っている。 エタ沈においても、本実験のようにある程度の遠心時間が許されるのであれば、少ない機器数で手軽に行なうことが可能になる便利さを発揮できると考える。 いずれも15分遠心(GM-01は1300×g、遠心機は15000r/min)し、エタ沈後に等量に再溶解した。使用した2種のDNAについて、電気泳動では遠心機と遜色ない結果を確認することができた。

バグクラッシャー GM-01 実験データ03

1.実験手順 破砕
※ガラスビーズ、ジルコニアビーズ、ブーレットを使用。
液体窒素凍結も試して各々の結果を比較した
※GM-01は4℃下に置いて使用した
  1. 培養液を遠心分離
    GM-01のスピンダウンモード(最高回転数)で5分間遠心、上清を捨てた
  2. TRIzol 500μl
  3. ビーズまたはブーレットを入れたチューブに懸濁液を移した
    ※液体窒素凍結を行なったものも用意 (図1参照)
  4. Mixing
    GM-01のミキシングモード(最高回転数)で10分間撹拌した
  5. Spin down
    GM-01のスピンダウンモード(最高回転数)で10分間スピンダウンした
    上清を新しい1.5mlチューブに移した
  6. CI溶液 等ボリューム
  7. Mixing
    GM-01ミキシングモードのフラッシュ機能を用いて数秒間撹拌した
  8. Spin down
    GM-01のスピンダウンモード(最高回転数)で15分間スピンダウンした
    上清を新しい1.5mlチューブに移した
  9. CI溶液 等ボリューム
  10. Mixing
    GM-01ミキシングモードのフラッシュ機能を用いて数秒間撹拌した
  11. Spin down
    GM-01のスピンダウンモード(最高回転数)で15分間スピンダウンした
    水相を新しいマイクロチューブに移した
2.実験手順 EtOH沈殿
  1. 等ボリュームのEtOH及び1/10のNaOAcを加えて静置した
    (-80℃、O/N)
  2. Spin down
    GM-01のスピンダウンモード(最高回転数)で15分間 スピンダウンした
  3. wash with 70% EtOH 1ml
  4. Spin down
    GM-01のスピンダウンモード(最高回転数)で5分間 スピンダウンした
  5. 沈殿乾燥後100μlのDEPC水に溶解した
    Total RNA溶液⇒電気泳動てrRNAを確認

    使用したビーズ等
    図1. 使用したビーズ等
    a.ガラスビーズ b.ジルコニアビーズ c.ブーレット(金属クラッシャー)
    d.液体窒素凍結…キャップをよく閉め液体窒素に入れる。液体窒素の蒸発が収まり
     シューという音がしなくなったらチューブを取り出して氷上に置く。

3.実験結果
totalRNA抽出実験電気泳動 レーン1: 100bpマーカー(DNA用)
レーン2: ガラスビーズ破砕、+液体窒素凍結
レーン3: ガラスビーズ破砕、−液体窒素凍結
レーン4: ジルコニアビーズ破砕、+液体窒素凍結
レーン5: ジルコニアビーズ破砕、−液体窒素凍結
レーン6: ブーレット破砕、+液体窒素凍結
レーン7: ブーレット破砕、−液体窒素凍結

【実験データのご提供】
お茶の水女子大学サイエンス&エデュケーションセンター
佐々木加代子 様


4.考察
以前に行なった酵母からのゲノム抽出では、ガラスビーズで凍結なしでも十分量が回収できたが、今回のTotal RNA抽出ではビーズ破砕の場合、液体窒素による凍結が望ましいこと、 ブーレット(金属クラッシャー)の場合は凍結せずにそのままで十分な収量が得られることが分かった。

バグクラッシャー GM-01 実験データ04

1.実験趣旨
植物細胞やグラム陽性菌は厚い細胞壁をもっており、RNAを抽出する際には細胞壁の酵素処理や物理的破砕のステップを加える必要があります。 細胞壁の処理にはサンプルの処理量、収量、目的とするRNA純度などにより様々な手法があるが、少量のサンプルを簡便に処理する手法としては、 ビーズと専用の破砕装置を用いた物理的破砕法が一般的に知られています。 しかし固い細胞骨格を持っているグラム陽性菌やカビ、更にそれに組織構造を併せ持ち、かつ液胞に様々なRNA分解酵素を持つ植物体では、破砕が十分ではなくRNA収量が低い、 激しく壊すことによる細胞壁や葉脈などのごみによるRNA純度の低下、の諸問題が存在します。 さらに破砕できる装置が非常に高額であり、コストパフォーマンスの問題も存在します。今回私たちNPO法人サイエンス・コミュニケーションでは、 タイテック社が開発したGM-01に着目し、本装置を活用したRNA抽出方法の開発に取り組みました。

2.材料と方法
  • 試料
    • 分裂酵母 S.pombe
    • シロイヌナズナ植物体 A.thaliana
  • 試薬
    • DEPC水
    • RNA抽出用フェノール試薬(TRIzol、インビトロジェン株式会社)
    • クロロホルム:イソアミルアルコール混液(CI溶液 24:1)
    • 70%エタノール
  • 機器
    • ビーズ破砕対応多目的スピンダウンミキサー バグクラッシャーGM-01(タイテック株式会社)
  • 容器・機材
    • 2.0mlマイクロチューブ(ワトソン、ネジ口、自立タイプ)
      ※クラッシャーとチューブの組合わせは破砕効率にとって重要なファクターです。
    • ガラスビーズ フジストンNo.06(直径0.35〜0.85mm、富士理化工業)
    • ジルコニアビーズ(コスモバイオ株式会社)
    • 金属クラッシャー(タイテック株式会社)
      ※金属クラッシャーのマイクロチューブ内での挙動を示すムービーはこちら
実験の詳細と結果はNPO法人サイエンスコミュニケーションが運営するWEBサイト
「リサーチツール.JP」に詳しく紹介されております。 続きはこちらをご覧ください。

バグクラッシャー GM-01 実験データ05

1.実験趣旨
RNeasy Plant Mini Kit (キアゲン)を使用したtotalRNA抽出をGM-01で行うこのキットでは本来、ミクロスパーテル等を用いて凍結組織片を氷上ですりつぶす方式をとるが、 その行程をGM-01およびジルコニアボール/ビーズで代行できるかを検証した。サンプルとしては、ゲノムDNAの抽出実験時に酵母を用いていたこともあり、 今回は固めのサンプルとして、RNAが得やすいと言われる食用野菜のブロッコリー(花蕾部分)を用いた。

2.材料と方法
  • 試薬
    • RLTバッファー(事前に1mlのRLTに対しβ-メルカプトエタノールを10μl加えておく)
    • 100% EtOH
    • RW1バッファー
    • RPEバッファー
    • RNaseフリー水
  • 機器
    • ビーズ破砕対応多目的スピンダウンミキサー バグクラッシャーGM-01(タイテック株式会社)
3-1.ミクロスパーテルを用いた本来の方法(比較対照用)

【手順】
  1. -60℃で凍結したブロッコリーの蕾100mgを火炎滅菌したミクロスパーテルですり潰した。 -21℃の冷凍バケットEFB(注;タイテック製、現在は生産終了)の上で冷やしながら行った。
  2. -RLTバッファー450μlを加えてボルテックスした。
  3. 2mlコレクションチューブにカラム(ライラック色)をセットしてライセートを移した。
  4. 12000rpmで2分間遠心した。
  5. コレクションチューブ内のフラクションから上清を取り、新しいマイクロチューブに移した。(細胞のカスをとらないように気をつけた)
  6. 1/2量(通常225μl)のエタノールを加え、素早くピペッティングした。
  7. 全量(通常650μl)をコレクションチューブにセットしたカラム(ピンク色)に移した。
  8. 10000 r/minで15秒遠心した。コレクションチューブ内のフラクションは捨てた。
  9. RW1バッファーをカラムに700μl加えて10000r/minで15秒遠心した。
  10. コレクションチューブを中のフラクションごと捨てた。
  11. 新しい2mlのコレクションチューブにカラムを移し、RPEバッファー500μlを加えた。
  12. 10000 r/minで15秒遠心した。コレクションチューブ内のフラクションは捨てた。
  13. 再びRPEバッファーを500μl加え、10000 r/minで15分遠心した。(RPEバッファーは極力、次のステップに持ち越さないように、きちんと遠心で除いた)
  14. 新しい1.5mlコレクションチューブにカラムを移し、50μlのRNaseフリー水を加えた。
  15. 10000 r/minで1分遠心した。
3-2.BugCrasher GM-01を用いたビーズ破砕によるRNA抽出

【追加試薬】
DNA/RNA抽出キット「MORA-EXTRACT」付属のジルコニアボール/ビーズ(コスモバイオ、下図)を使用した。 これは、φ5mmほどのボールが1個とφ1mmに満たない多数のビーズが2mlねじ口チューブに充填されているもので、ボールが組織片に対し有効であると考えられた (ビーズ破砕では対象の大きさに合わせてビーズの大きさも変えるのが通例)。

【手順】
  1. ジルコニアボール/ビーズ充填チューブに-60℃で凍結したブロッコリーの蕾100mgを入れ、RLTバッツファー450μlを加えた。 -21℃の冷凍バケットEFB(注;タイテック製、現在は生産終了)の上で冷やしながら行った。
  2. BugCrasher GM-01の[MIXING]モードで10分ホモジナイズした。
  3. 2mlコレクションチューブにカラム(ライラック色)をセットしてライセートを移した。
  4. 12000r/minで2分間遠心した。
  5. コレクションチューブ内のフラクションから上清を取り、新しいマイクロチューブに移した。(細胞のカスをとらないように気をつけた)
  6. 1/2量(通常225μl)のエタノールを加え、素早くピペッティングした。
  7. 全量(通常650μl)をコレクションチューブにセットしたカラム(ピンク色)に移した。
  8. 10000r/minで15秒遠心した。コレクションチューブ内のフラクションは捨てた。
  9. RW1バッファーをカラムに700μl加えて10000r/minで15秒遠心した。
  10. コレクションチューブを中のフラクションごと捨てた。
  11. 新しい2mlのコレクションチューブにカラムを移し、RPEバッファー500μlを加えた。
  12. 10000r/minで15秒遠心した。コレクションチューブ内のフラクションは捨てた。
  13. 再びRPEバッファーを500μl加え、10000rpmで15分遠心した。(RPEバッファーは極力、次のステップに持ち越さないように、きちんと遠心で除いた)
  14. 新しい1.5mlコレクションチューブにカラムを移し、50μlのRNaseフリー水を加えた。
  15. 10000 r/minで1分遠心した。
4.結果と考察

【GM-01におけるジルコニアボール/ビーズによる破砕効果の検証】
ジルコニアボール/ビーズでは、BugCrasher GM-01を用いて10分ホモジナイズすると100%ではないものの、花蕾が砕け、溶液が緑色に濁ったのを確認できた。 酵母培養液からのゲノム抽出で効果が高かったガラスビース(平均φ0.84mm程度)では、10分より時間を延ばしても花蕾の破片や溶液の濁りは確認できなかった。

図.1ジルコニアボール/ビーズの場合図.2ガラスビーズの場合

【ミクロスパーテル(方法3-1)とジルコニアボール/ビーズ(方法3-2)の比較】
1)分光光度計による収量の見積り
それぞれで抽出したtotalRNA溶液の吸光度を紫外/可視分光光度計BPM-10Bio-1CH(タイテック)で測定し、計算機能を使って濃度換算した。 結果は以下の通り遜色ない数値であった。多検体処理が可能という点を加味すると、GM-01に軍配が上がると言える。

 OD260濃度
方法3-1 スパーテル0.2731092μg/ml
方法3-2 GMジルコニア0.2911164μg/ml

2)電気泳動による確認
得られたサンプルの1%アガロースゲル電気泳動を行った。
Lane1がサイズマーカー、lane2は参考までに抽出したゲノムDNA(方法は記していない)、lane3が方法3-1、lane4が方法3-2の結果である。

 1234   
電気泳動による確認
  1. サイズマーカー
  2. 参考に抽出したゲノムDNA
  3. 方法3-2 GMジルコニア
  4. 方法3-1 スパーテル

3.5kbps付近と19kbps付近にバンドが確認できた。これはブロッコリーのrRNAであると考えられるが、方法3-2は3-1よりもややスメアー状を呈しており、手法の改善が必要かもしれない。改 善手段としては、1)新鮮なサンプルを-60℃ではなく液体窒素で瞬間凍結する(方法3-2に限らないが、野菜の場合、収穫直後が望ましいが、本実験では購入したものを一晩かけて-60で凍結さ せた)、2)GM-01での破砕時の発熱による内因性RNaseの活性化(バッファー中に阻害剤は入っているが)を抑えるためGM-01を冷蔵庫に入れて使用する、3)GM-01でのホモジナイズの時間 を抽出に影響しない範囲でなるべく短くする、などの工夫が必要ではないかと考えられる。もちろん、泳動の段階で分解を受けている可能性も高いので(方法3-2に限らないが)、泳動バッ ファー等のRNase除去処理も行うことが必要である(本実験では諸般の事情により、泳動におけるRNaseフリー化、およびRNAに最適な泳動方法については留意しなかった)。

バグクラッシャー GM-01 実験データ06

実験データご提供・著者:青木 元秀 助教
東京薬科大学 生命科学部 環境衛生化学研究室

1.概要
ラン藻の破砕方法としては、ガラスビーズやフレンチプレス、超音波による破砕など目的や抽出対象物質などにより様々な手法が用いられている。 今回、12検体を同時に撹拌しススピンダウンできるバグクラッシャーを用いて、ラン藻を破砕してタンパク質抽出する手順と条件について検討した。

2.材料・試薬
  • 生物試料:Synechocystis sp. PCC6803
  • 生育培地:BG-11 medium (30 mM HEPES-NaOH pH 7.5, 5 mM D-glucoseを含む)
  • 生育段階:Mid log phase
  • 2.0mlマイクロチューブ
  • ガラスビーズ:フジストンガラスビーズNo.02 (直径0.15~0.25 mm、富士理化工業)
  • ブーレット(金属クラッシャー、タイテック)
  • 破砕バッファー 10mM NaCl
            5mM HEPES-NaOH (pH 7.5)
            1mM EDTA (pH 7.5)
3.実験手順
  1. BG-11で前培養しておいたSynechocystisを100mlのBG-11で一晩、34°Cにて振とう培養した。
  2. 50mlずつ50ml遠沈チューブ2本に分け、2,200 gで5分間遠心して集菌し、上清を捨てた。
  3. それぞれに20mlの破砕バッファーを加えて洗浄し、2,200gで5分間遠心して集菌し、上清を捨てた。
    (以後の作業は、サンプルの劣化を防止のため4°C低温実験室にて実施した。)
  4. それぞれに1.0mlの氷冷した破砕バッファーを加えて懸濁した。
  5. 2mlマイクロチューブ(ネジ口)2本にビーズを取り分けた(分量はおよそ1.0ml容量)。
  6. ビーズまたは金属クラッシャーを入れたチューブに懸濁液をそれぞれ移し、GM-01のミキシングモード(最大撹拌)で10分間撹拌した。 破砕液の一部を取り光学顕微鏡により観察した。
  7. GM-01のスピンダウンモード(最高回転数)で5分間遠心して細胞残屑を除き、破砕液をそれぞれ新しい1.5mlマイクロチューブに移した。
  8. 高速マイクロ遠心機を用いて20,000gで20分間遠心した。
  9. 上清を細胞質画分としてそれぞれ新しい1.5mlマイクロチューブに回収した。
  10. 沈殿物に再度1.0mlの氷冷した破砕バッファーを加えて洗浄し、20,000gで20分間遠心して上清を捨てた。
  11. それぞれに少量の破砕バッファーを加えて懸濁し、膜画分としてそれぞれ新しい1.5mlマイクロチューブに回収した。
  12. 抽出したタンパク質はSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動により検出した。

4.結果

【細胞の破砕の検証】
バグクラッシャーによる細胞破砕の様子を観察するために、細胞の自家蛍光を蛍光顕微鏡により観察した。 ラン藻細胞をガラスビーズで約10分間処理することにより、ほぼすべての細胞が破砕されていた(図1)。 ラン藻細胞はサイズが数μmと微細なため、金属クラッシャーよりもガラスビーズの方が破砕効率が良いようであった(図2)。

蛍光顕微鏡による細胞破砕状況の確認 図1 蛍光顕微鏡による細胞破砕状況の確認
A. 破砕前 微分干渉像
B. 破砕後 微分干渉像
C. 破砕前 蛍光像
D. 破砕後 蛍光像


【抽出タンパク質】
バグクラッシャーにより細胞をビーズ破砕処理した破砕液を遠心分離により分画した細胞質画分と膜画分について、 SDS-PAGEを行いタンパク質が分画抽出できたかどうかを我々が以前から用いてきた破砕方法により抽出したタンパク質サンプルと比較し検討した。 図3に示したように、バグクラッシャーを用いて調製した各画分からタンパク質が検出された。 ボルテックスミキサー用いた破砕手法と比較しても遜色ないタンパク質の分画が可能であることが確かめられた。

ラン藻細胞の破砕時間と破砕率 図2 ラン藻細胞の破砕時間と破砕率


SDS-PAGEによるタンパク質の検出 図3 SDS-PAGEによるタンパク質の検出
1. ガラスビーズGM-01破砕 細胞質画分
2. ガラスビーズ 手動ミキサー破砕 細胞質画分
3. ガラスビーズGM-01破砕 膜画分
4. ガラスビーズ 手動ミキサー破砕 膜画分
5. 分子量マーカー

バグクラッシャー GM-01 実験データ07

実験データご提供・著者:青木 元秀 助教
東京薬科大学 生命科学部 環境衛生化学研究室

1.概要
クロレラの細胞は厚い細胞壁に包まれており、その生体成分抽出のために様々な破砕方法が用いられてきた。 今回、バグクラッシャーを用いたガラスビーズおよび金属クラッシャーによるクロレラ細胞の物理的破砕効率について検討を行った。

2.材料・試薬
  • 生物試料:Chlorella kessleri 11h
  • 生育培地:1/5 Gamborg’s B5 medium
    (20 mM HEPES-NaOH pH 7.5, 5 mM D-glucoseを含む)
  • 生育段階:Mid log phase
  • 2.0mlマイクロチューブ
  • ガラスビーズ:フジストンガラスビーズNo.06 (直径0.35〜0.84 mm、富士理化工業)
  • ブーレット(金属クラッシャー、タイテック)
  • 破砕バッファー 10mM NaCl
            5mM HEPES-NaOH (pH 7.5)
            1mM EDTA (pH 7.5)
3.実験手順
  1. 1/5 Gamborg’s B5で前培養しておいたChlorellaを100mlの1/5 Gamborg’s B5で一晩、25°Cにて振とう培養した。
  2. 50mlずつ50ml遠沈チューブ2本に分け、2,200gで5分間遠心して集菌し
    上清を捨てた。
  3. それぞれに20mlの破砕バッファーを加えて洗浄し、2,200gで5分間遠心して集菌し、上清を捨てた。
    (以後の作業は、サンプルの劣化を防止のため4°C低温実験室にて実施した。)
  4. それぞれに1.0mlの氷冷した破砕バッファーを加えて懸濁した。
  5. 2mlマイクロチューブ(ネジ口)2本にガラスビーズを取り分けた
    (分量はおよそ1.0ml容量)。
  6. ビーズまたは金属クラッシャーを入れたチューブに懸濁液をそれぞれ移し、GM-01のミキシングモード(最大撹拌)で10分間撹拌した。 破砕液の一部を取り光学顕微鏡により観察した。

4.結果

【細胞の破砕の検証】
バグクラッシャーによる細胞破砕の様子を観察するために、細胞の自家蛍光を蛍光顕微鏡により観察した(図4)。 一見細胞の形を残しているものでもその多くは細胞質が破壊されていることが蛍光像から観察される。 クロレラ細胞をガラスビーズで約10分間処理することにより、約90%の細胞が破砕されていた(図5)。 クロレラ細胞の金属クラッシャーによる破砕は、ガラスビーズに破砕効率こそ若干劣るものの十分に実用的であると思われる。

光顕微鏡による細胞破砕状況の確認 図4 光顕微鏡による細胞破砕状況の確認
A. 破砕前 微分干渉像
B. 破砕後 微分干渉像
C. 破砕前 蛍光像
D. 破砕後 蛍光像


ラン藻細胞の破砕時間と破砕率 図5 ラン藻細胞の破砕時間と破砕率


このようにバグクラッシャーを用いてクロレラ細胞を効率よく破砕できることが確かめられた。 今後、得られた破砕液からの核酸やタンパク質の抽出についても検討していきたい。

バグクラッシャー GM-01 実験データ08

実験データご提供:藤晋一 准教授
秋田県立大学 生物資源科学部 植物保護研究室

  1. 液体培地で培養した菌体、ミクロスパーテル一杯分を2mlチューブに入れる。
  2. 金属クラッシャーを入れ、チューブのふたを閉める。(この時に菌体はチューブの底に位置するようにする)
  3. チューブを液体窒素中に入れ、凍結させる。
  4. 凍結したチューブを取り出し、バグクラッシャーのローターにセットする。
  5. MIXINGモードLAで10秒間攪拌運転する。
  6. チューブを取り出し、粉末状になっていることを確認する。(粉末状になっていない場合は再度、液体窒素中に入れ、同じ操作を行う)
  7. チューブに300μl PEX溶液(6.25mM Potassium ethyl xantogenate, 100mM Tris-HCl(pH7.5), 700mM NaCl, 10mM EDTA(pH8.0)を加え、 チューブのふたを閉める。
  8. チューブをバグクラッシャーのローターにセットし、再度MIXINGモードLAで10秒間攪拌運転する。
  9. 金属クラッシャーをピンセットで取り出し、60℃で30分間静置する。
  10. 15,000rpm 5分室温で遠心。
  11. 上清160μlを1.5mlチューブにとり、400μlのエタノールを加え、混合する。
  12. 15,000rpm 5分室温で遠心し回収した粗DNAは、70%エタノールで洗浄した後、乾燥し、100μlのSDWに溶解した。
溶解したDNA(本試験ではイネいもち病菌)を鋳型として5.8S rDNAを含むITS領域をPCRにより増幅した。
その結果、目的とするPCR産物の増幅が認められた
(遠心は一般的な微量高速遠心機を用いた)

バグクラッシャーを用いた植物中からのウイルス検出のための
RNA調整法
バグクラッシャー GM-01 実験データ09

実験データご提供:藤晋一 准教授
秋田県立大学 生物資源科学部 植物保護研究室

  1. 罹病植物、<〜1cm角を2mlチューブに入れる。(左:トルコギキョウ、右:ネギ)
  2. 金属クラッシャーを入れ、チューブのふたを閉める。(この時に植物はチューブの底に位置するようにする)
  3. チューブを液体窒素中に入れ、凍結させる。
  4. 凍結したチューブを取り出し、バグクラッシャーのローターにセットする。
  5. MIXINGモードLAで10秒間攪拌運転する。
  6. チューブを取り出し、粉末状になっていることを確認する。(粉末状になっていない場合は再度、液体窒素中に入れ、同じ操作を行う)
  7. チューブにRneasy Plant Mini Kit中のRLT buffer 450μl、2-メルカプトエタノール4.5μlを加え、チューブのふたを閉める。
  8. チューブをバグクラッシャーのローターにセットし、再度MIXINGモードLAで10秒間攪拌運転する。
  9. 金属クラッシャーをピンセットで取り出し、得られた粗汁液をQIA shredder spin columに入れ、後はキットのプロトコルに従って、全RNAを抽出する。
得られた全RNAを鋳型としてRT-PCRを行ったところ、ウイルス遺伝子を検出することができた。
例として植物ウイルスの一種 アイリスイエロースポットウイルスの診断結果を示した。供試植物はトルコギキョウ(右)、ネギ(左)とした。